「先生こんにちわー〇〇〇って何」
元気の良い挨拶が響き終わる間もなく、今日も質問が始まりました。
ある日は「ドップラー効果」から始まって「プラシーバ効果」「ドラキュラ」…と続き、ある日は「モーゼ」から始まって「天台宗」「人体の中にいる細菌」…と続きます。
興味の対象の幅広いこと、専門的な用語を覚えていることなどなど、10歳の質問とはとても思えません。湧き出る疑問の泉を、心地よく浴びているかのようです。
○月○日
「更級日記って何」
「昔は絵の具をどのように作っていたの」
「国の借金はどの位になるの」
「赤さびと黒さびはどう違うの」
「酸性とかアルカリ性とかって何」
「酸性雨が降っているのに骨は大丈夫なの」
「とりもちって何からできるの」
「車輪はいつごろ発明されたの」
「ゴムはいつごろから使われたの」
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○月○日
「酸とアルカリをまとめると何と言うの」
「アルミニウムは何からできるの」
「水道水に含まれている成分は」
「顕微鏡はいつできたの」
「電子顕微鏡ってどんなの」
「鞭毛はどんな働きをするの」
「くじらはプランクトンを食べてお腹がいっぱいになるの」
「DNAって何」
「DNAが螺旋状になっているってどうして分かるの」
「遺伝子って何」
「ガンって何」
「熱帯魚はいつごろから色が鮮やかになったの」
「ロックはプレスリーが始めたの」
「GHQって何」
「ミイラはどのようにして作るの」
「腐った物を食べてもどうして動物は大丈夫なの」
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○月○日
「サイジョウオデキって何」
「? ? ?」
「歌っている人だよ」
「? それって西条秀樹じゃないかな」
「そっか。じゃ完全数って何」
「モノポリーって何」
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疑問に思ったことを家庭で書き留めてくる塾生(10歳)もいます。国語や算数とは別に質問ノートを用意し、1ページごとに質問事項とその日に聞いたことや知ったことを図入りでまとめています。
「朝と夕方で空の色がどうして変わるのか」
「あくびはどうして出るのか」
「風はどこから吹いてくるのか」
「地球だけに空気があるのか」
「地球にどうやって生物が生まれたか」
「にわとりと卵はどちらが先に生まれたのか」
「人間はどうして笑ったり怒ったりするのか。他の動物は笑ったり怒ったりするのか。笑う時の脳のはたらきと怒った時の脳のはたらきはどう違うのか」
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それぞれの花にどのくらい違った色があるのだろうと疑問に思った塾生(8歳)は、「サクラ、ハイビスカス、ミヤマオダマキ」から始めて「トキワハゼ、ホトケノザ、タチイヌノフグリ」まで、69種類の花を調べました。書き上げた原稿用紙は、11枚にもなります。それでもまだ充分とは思っていなかったのでしょう。次に塾へ来た時に言っていました。
「まだ書いてないのがあった。水仙も……」
身のまわりには、わからないことが実はたくさんあります。「何だろう」「なぜだろう」とふと思ったときはチャンスです。わからないという自覚は、わかってくる第一歩だからです。
わからないから考え、わからないから調べていけば、少しずつわかってきます。わかってくると、さらに広く深く知りたくなってきます。心がわくわくしてきます。